発行番号:22
文 責:嶋貫賢男
*下記はTSURUGI SOLUTIONが独自に作成した抄訳・要約・解説です、正確な全文は原典をご参照下さい。原典は各リンクからダウンロードできます。
3.2020年の所得税申告(2021年1月28日 租税総局通知 1861号)
本通知は、2020年度の年次所得税申告を2021年3月31日までにオンラインで行うよう通知するものです。下記の注意書きが書かれています。
- 暦年(1月1日から12月31日まで)を使用する企業の申告期限は2021年3月31日。
- 暦年と異なる年度を使用する企業の申告期限は、年度末から3か月以内。
- 複数の支店を持つ企業は、本店と全支店の収支を合算して申告し、各支店の収支簿、資産リストなどを添付する。
- 複数の適格投資プロジェクト(QIP)を持つ企業、QIPまたはQIP以外の複数の所得税免除プロジェクトを持つ企業、または異なる所得税率が適用される複数のプロジェクトを持つ企業の税務申告は、上記3つに加えて、2016年10月11日付の複数のプロジェクトを実施する企業に対する租税義務に関する省令1127号に基づかなければならない。
- 納税者を代理して税務手続を行う納税者スタッフまたは税務エージェントは、税法106条及び2013年4月12日付の租税サービスエージェントに関する省令455号に基づき、スタッフであることを証明するIDカード、または納税者からエージェントに権限を付与する旨の委任状を保持しなければならない。
本省令は、カンボジア政府とマレーシア政府間、及びカンボジア政府と韓国政府間における、所得税二重課税の撤廃及び脱税・租税回避防止に関する協定を、マレーシアについては2021年1月1日から、韓国については2022年1月1日から、それぞれ適用開始する旨を規定したものです。具体的な適用手続は追って指導等で定めるとされています。
5.民事事件書式の公開(2021年1月29日 司法省 番号なし)
本レターは、司法省がJICAと協力して、①貸金返還請求事件、②売買契約に基づく所有権移転登記手続請求事件、③契約解除に基づく所有権移転登記手続請求事件、の民事事件で使用する書式例を2021年1月29日から司法省のウェブサイトhttp://www.moj.gov.kh/kh/sample-civil-documentsにて公開することを通知するものです。裁判制度の利用者及び裁判実務の関係者がこの書式を裁判実務に活用することが期待されます。
6.2021年に使用する車両重量計測器の検査(2021年2月2日 工業科学技術革新省通知 193号)
本通知は、2021年に使用する全ての車両重量計測器は、工業科学技術革新省による検査を受けなければならない旨を通知するものです。検査を受けず検査済証を貼っていない機器は、カンボジア計量法第10章に基づき処罰の対象となります。車両重量計測器の検査を受けるためには、工業科学技術革新省のOneWindowサービスで申請できます。詳細は023 230 211番又は owsnmc.misti@yahoo.comまで。
7.コロナ禍における財務諸表への継続企業の前提(ゴーイングコンサーン)の適用について(2021年2月8日 会計基準評議会通知 002号)
2021年1月、国際会計基準評議会(International Accounting Standards Board)は、COVID-19感染拡大期間において事業継続に不安のある企業における財務諸表が継続企業の前提(ゴーイングコンサーン)に基づくべきか否かの判断基準、及び各企業の事業状況に応じた開示すべき情報の目安に関する指針を出しました。本通知は、この国際指針をカンボジアにも適用する旨を確認するものです。
詳細はwww.ifrs.orgに記載されています。
8.自動車関税の引き下げ(2021年2月9日 政令 18号)
本政令は、本政令所定の自家用車、電気自動車、貨物車、大型車両の関税減額を規定したものです。
9.カンボジアの弁護士となるための申請手続(2021年2月15日 弁護士会決定 116号)
本決定は、カンボジアの弁護士となるための要件及び申請手続を規定したものです。
- 弁護士法31条に基づく申請(弁護士会が行う司法試験に合格し、弁護士養成校を卒業した
場合):
- カンボジア国籍
- 相当であると認められた法学士またはこれに相当する資格
- 弁護士養成校が発行した証明書
- 犯罪歴その他の罰則を受けた経歴がないこと
- 破産した経歴がないこと
- 弁護士法の第32条に基づく申請(弁護士会が行う司法試験及び弁護士養成校でのトレーニングが免除される場合)
(裁判官又は元裁判官)
- 5年以上職業に従事した裁判官、または法学士を有して2年以上職業に従事した元裁判官
- カンボジア国籍
- 犯罪歴その他の罰則を受けた経歴がないこと
- 破産した経歴がないこと
(外国の弁護士会に登録された者)
- カンボジア国籍
- 犯罪歴その他の罰則を受けた経歴がないこと
- 破産した経歴がないこと
- 国連加盟国の弁護士会が発行した登録証明書
(法学博士を有する者)
- カンボジア国籍
- 犯罪歴その他の罰則を受けた経歴がないこと
- 破産した経歴がないこと
- 外国の教育機関による博士号の場合は、これが法学博士に相当するものであるとする教育省による評価書
(法学士の資格で法律事業または裁判所で2年以上業務に従事した者)
- カンボジア国籍
- 犯罪歴その他の罰則を受けた経歴がないこと
- 破産した経歴がないこと
10.隔離措置を怠ったカンボジア人労働者に対する罰金(2021年2月15日 労働職業訓練省通知 006号)
本通知は、COVID-19感染拡大を防止するため、カンボジア人労働者に対して以下のとおり通知するものです。
- 違法に国境を越えてカンボジアに入国してはならない。
- カンボジアに入国した際は隔離を実施しなければならない。隔離を怠った者は、1,000,000(百万)リエル以上の罰金対象となり、さらに刑事罰の対象にもなる。
- 労働者の違法越境を手配するブローカーに関する情報がある場合は、これを大使館または関連当局へ提供するよう協力すること。
11.国家インターネットゲートウェイの設立(2021年2月16日 政令 23号)
本政令は、カンボジア国内とカンボジア国外のインターネット接続の出入り口を管理する国家インターネットゲートウェイを設立するものです。インターネットゲートウェイの運営は政府が指定する民間業者が実施しますので、参加したいインターネット事業者はカンボジア通信規制当局(TRC)にライセンス申請をすることができます。
12COVID-19感染拡大防止のための隔離措置(2021年2月18日 政令 27号)
本政令は、COVID-19感染拡大防止のための隔離措置及び違反者に対する罰則を規定したものです。
カンボジア人か外国人かを問わず、カンボジアに入国した者、またはCOVID-19陽性者または陽性の疑いのある者に直接または間接に接触した者は、隔離を実施しなければなりません。
隔離義務を実施せず、または逃亡した個人に対しては、1,000,000(百万)リエルから5,000,000(五百万)リエル、逃亡を教唆・幇助した者や、逃亡を支援したり情報を隠蔽した医療機関は10,000,000(千万)リエルから50,000,000(五千万)リエル、法人による違反の場合は10,000,000(千万)リエルから50,000,000(五千万)リエルの罰金対象となります。
13.国際的な疾病感染拡大防止措置に関する政令129号の第8条改正(2021年2月18日 政令 28号)
本政令は、2015年に制定された国際的な疾病感染拡大防止措置に関する政令129号の第8条を改正し、隔離措置等に従わない者に対して1,000,000(百万)リエルから5,000,000(五百万)リエル、隔離措置の違反を指導した者に対して10,000,000(一千万)リエルから50,000,000(五千万)リエルの罰金を課すとするものです。30日以内に罰金を払わない場合、保健省の担当官が事案を裁判所に送付することができるとされています。
14.労働及び職業訓練に関する公共サービスの自動システムによる提供実施の延期(2021年2月 22日 労働職業訓練省通知 番号なし)
本通知は、2021年3月1日から開始を予定していたOneWindowサービスにおける労働及び職業訓練に関する公共サービスの自動システムによる提供を、2021年5月1日まで延期する旨を通知するものです。
自動システムによる労働職業に関する公共サービスの使用のマニュアルは、https://lacms.mlvt.gov.kh、職業訓練に関する公共サービスの使用のマニュアルはhttps://tvcms.mlvt.gov.khからダウンロードできます。
詳細は1297番またはsupport.services@mlvt.gov.khまで連絡すること。
15.COVID-19感染拡大防止のための隔離措置に関する政令27号の追加措置(2021年2月 25日 内閣通知 127号)
本通知は、保健省によるCOVID-19感染拡大防止措置に協力しない者に対して、法令に基づく措置に加えて、下記の措置を採ることが可能である旨を通知するものです。
- 外国人の場合は、カンボジアから退去させ再入国を禁止する。
- カンボジア人の場合は、法律に基づき処分する。
- 場所の場合は、ライセンスをはく奪し事業を閉鎖する。
16.オンラインによる年次所得税申告の使用マニュアル(2021年3月2日 租税総局指導 4091号)
本指導は、オンラインによる年次所得税の申告制度(Tax on Income – ToI E-Filing)の使用方法を具体的に説明したマニュアルです。
17.これから運用開始となる年金制度の具体的内容(2021年3月4日 政令 32号)
本政令は、国家社会保障基金(NSSF)の年金制度の内容を定めるものです。1人以上の労働者を雇用する企業は全て、NSSFに登録し、年金制度を導入しなければなりません。新しい労働者を雇用した際は、使用者は3日以内にその労働者をNSSFに登録しなければなりません。
支払う年金保険料は、制度開始の最初の5年間は賃金の4%とし、使用者と労働者がそれぞれ2%ずつ負担します。年金額の支払は従来のNSSF実務と同様で、使用者が毎月15日までに前月分を所定の金融機関で支払い、20日までに最新のスタッフリストをNSSFへ提出することとされています。なお、使用者は、社会保障料を年払いとすることも選択できます。
労働者が老齢年金の受給資格を得るためには、60歳以上であること、及び12カ月以上の年金保険料の支払が要件となります。労働者が障がい者年金または死亡年金の受給資格を得るためには、障害発生時に60か月以上の年金保険料の支払が要件となります。
年金制度の運用開始時期は、追って労働省と経済財務省の共同省令で定めるとされています。
18.公共部門に対するNSSF労災制度の実施開始(2021年3月10日 労働職業訓練省令 087号)
本省令は、2019年11月2日付社会保険制度法第3条1号に基づく公共部門従事者に対するNSSF労災制度の適用開始期日を2021年1月1日からとする旨を通知するものです。
19.ライセンスまたは許可証を持たない郵便事業の禁止(2021年3月10日 郵便電気通信省通知 15号)
本通知は、郵便事業のライセンスまたは許可証を持たずに郵便事業を行っている事業者がいることに鑑み、これらの事業者に対しては郵便事業法に基づき5百万リエル以上10百万リエル以下の罰金対象となる旨をリマインドするとともに、これらの事業者に対して遅くとも2021年4月30日までに下記の申請をするよう通知するものです。
- ライセンスを保持せずに事業を行っている事業者、または支店開設許可を得ずにプノンペン市内に支店を開設した事業者は、郵便電気通信省に申請すること。
- 支店開設許可を得ずに州に支店を開設した事業者は、当該州の郵便電気通信局に申請すること。
20.COVID-19及びその他の重篤伝染病蔓延の予防措置に関する法律(2021年3月11日)
本法律は、COVID-19及びその他の伝染病の蔓延防止策及び罰則を規定したものです。例えば、下記のような罰則が規定されています。
- 指定の隔離を実施せず、または隔離場所から逃亡して感染させた場合:6か月~3年の収監刑及び2百万リエル~10百万リエルの罰金。
- 指定の治療を受けない場合:1年~5年の収監懲役刑及び5百万リエル~20百万リエルの罰金、これによって他人に感染させた場合は5年から10年の収監。
- 故意に他人に感染させた場合:個人行為の場合は5年~10年の収監、集団行為の場合は10年~20年の収監。
- 行政的な措置の違反罪:本法律に関連して出された行政措置に従わない場合、百万リエル~5百万リエルの罰金。これによって他人に感染させた場合は6か月~3年の収監及び2百万万リエル~10百万リエルの罰金。これによって公共の危険を生じさせた場合は2年~5年の収監及び5百万リエル~20百万リエルの罰金。
- 故意に行政措置を妨害した場合:6か月~3年の収監及び2百万リエル~10百万リエルの罰金。これによって他人に感染させた場合または公共の危険を生じさせた場合は、2年~5年の収監及び5百万リエル~20百万リエルの罰金。
21.モバイルアプリ「GDT Taxpayer App」による不動産税の支払い(2021年3月11日 租税総局 4776号)
租税総局が提供するモバイルアプリ「GDT Taxpayer App」をダウンロードすることで、オンラインで不動産税の支払ができます。このアプリでは下記の機能を利用することができます。
- 租税総局に登録された不動産情報の閲覧およびアップデート
- 税務申告書を記入する手間をかけずに不動産税を支払うことができる
- 税金支払のためにわざわざ税務当局や銀行へ行く必要がなくなる
- 税金支払いの領収書を確認するためにわざわざ税務当局へ行く必要がなくなる
- 税金支払期日や支払期限などに関する通知を受けることができる
22.COVID-19およびその他の重篤伝染病蔓延予防のための保健措置(2021年3月12日 政令 37号)
本省令は、COVID-19及びその他の重篤伝染病蔓延の予防措置に関する法律に基づき保健措置の種類、健康措置の内容、遺体の管理と処理、本政令に違反した場合の処罰などを規定したものです。事業所における殺菌措置・体温計測・1.5メートル以上の間隔確保など、実施すべき措置が具体的に記載されています。