発行番号:21
文 責:嶋貫賢男
*下記はTSURUGI SOLUTIONが独自に作成した抄訳・要約・解説です、正確な全文は原典をご参照下さい。原典は各リンクからダウンロードできます。
3.労働職業訓練に関する公共サービスのオンライン申請開始(2021年1月6日 労働職業訓練省通知 番号なし)
本通知は、2021年1月11日以降、労働職業訓練省が管轄する下記公共サービスを下記ウェブサイトからオンラインで受け付ける旨を通知するものです。
- 職業に関する公共サービス:https://lacms.mlvt.gov.kh
- 訓練に関する公共サービス:https://tvcms.mlvt.gov.kh
- 外国人に関する公共サービス:https://fwcms.mlvt.gov.kh
他方、市・州の労働職業訓練局及びOneWindowサービスが管轄する公共サービスについては、オンラインへの移行は2021年3月1日からとなります。当面の間は、オンライン申請をうまくできない場合に備えて窓口での直接受付も並行して実施します。
本指導は、2021年1月11日から公共教育施設が再開することを受けて、2020年8月4日付学校再開基準(SOP)及び2020年10月22日付スクールバス、図書館、スポーツ教育、アート活動及び食堂サービスを対象とした基準(SOP)が今でも有効であり、これを実施することを条件にスクールバス、図書館、スポーツ教育、アート活動、食堂サービスを再開することを認めるものです。
5.観光訓練施設の再開(2021年1月11日 観光省通知 018号)
2020年12月29日の観光省指導により、COVID-19感染拡大防止のため全ての観光訓練施設に対して訓練の一時停止が要請されていましたが、本通知は、COVID-19感染拡大防止措置を実施することで本通知日から訓練再開を許可するものです。
6.受刑者に対する刑の軽減及び免除の手続(2021年1月12日 王令 030号)
本王令は、受刑者に対する減刑及び刑の免除、つまりいわゆる恩赦を定めた王令です。原則として恩赦は年に5回、下記の祝日に行われるとされており、この他に国の重大行事の際にも行うことができるとされています。
- 虐殺政権からの解放日(1月7日)
- クメール正月(概ね4月)
- 仏誕節(概ね4月~5月)
- 独立記念日(11月9日)
- 水祭り(概ね10月~11月)
恩赦を受けられるのは確定判決により収監されている者に限られます。刑務所長が受刑者の更生の意思、刑務所内での態度、更生・職業訓練プログラムへの参加、その他の規則の遵守状況などを評価して候補者リストを作成し、市・州レベル及び内務省の委員会へ提出するとされています。上記の理由の他に、高齢者、妊娠中の女性、重病患者、精神疾患者、障がい者に対して人道的見地から恩赦を与えることもできるとされています。減刑を受けるためには刑期の3分の1以上(終身刑の場合は10年以上)を終えていること、刑の免除を受けるためには刑期の3分の2以上(終身刑の場合は原則として30年以上)を終えていること、等の要件が詳細に規定されています。
7.大規模納税者・中規模納税者・小規模納税者の区分変更(2021年1月12日 経済財務省令 009号)
本通知は、2021年から適用される納税者の分類を規定するものです。これまでよりも小規模納税者の上限(中規模納税者の下限)が上がりました。
ア. 原則として年間売上により分類される
- 小規模納税者(Small Taxpayers):
- 個人事業主又はパートナーシップであり、
- 農業、サービス、または商業で年間売上が2億5千万以上10億リエル以下(約62,500USD 以上250,000USD以下)の場合、または
- 産業で年間売上が2億5千万以上16億リエル以下(約62,500USD以上400,000USD以下)の場合、または
- 年間のうち連続する3ヶ月の売上が6千万リエル(約15,000USD)以上の場合、または
- 翌3ヶ月間の売上見込みが6千万リエル(約15,000USD)以上の場合、または
- 入札等への参加がある場合。
- 中規模納税者(Medium Taxpayers):
- 農業を営む者で年間売上が10億リエルを超え40億リエル以下(約250,000USDを超え1,000,000USD以下)の場合、または
- サービス業または商業を営む者で年間売上が10億リエルを超え60億リエル以下(約250,000USDを超え1,500,000USD以下)の場合、または
- 産業を営む者で年間売上が16億リエルを超え80億リエル以下(約400,000USDを超え2,000,000USD以下)の場合、または
- 法人・駐在事務所として登録された企業、または
- 政府機関、協会、非政府組織、及びこれらの下部組織、または
- 大使館、領事館、国際機関、各国政府の技術協力機関、及びこれらの下部組織
- 大規模納税者(Large Taxpayers):
- 農業を営む者で年間売上が40億リエル(約1,000,000USD)を超える場合、または
- サービス業または商業を営む者で年間売上が60億リエル(約1,500,000USD)を超える場合、または
- 産業を営む者で年間売上が80億リエル(約2,000,000USD)を超える場合、または
- 多国籍企業の支社、外国会社の支店、または
- 投資適格プロジェクト(QIP)の登録を受けた企業。
イ. 事業資産による納税者の分類
納税者の現実の売上を反映できない場合は、納税者の事業資産に基づいて納税者を分類する。
- 小規模納税者(Small Taxpayers):
- 農業、サービス業、または商業で、年間の事業資産が2億リエル以上10億リエル以下(約50,000USD以上250,000USD以下)の場合、または
- 産業で、年間の事業資産が2億リエル以上20億リエル以下(約50,000USD以上500,000USD以下)の場合。
- 中規模納税者(Medium Taxpayers):
- 農業、サービス業、または商業で、年間の事業資産が10億リエルを超え20億リエル以下(約250,000USDを超え500,000USD以下)の場合、または
- 産業で、年間の事業資産が20億を超え40億リエル以下(約500,000USDを超え1,000,000USD以下)の場合。
- 大規模納税者(Large Taxpayers):
- 農業、サービス業、または商業で、年間の事業資産が20億リエル(約500,000USD)を超える場合、または
- 産業で、年間の事業資産が40億リエル(約1,000,000USD)を超える場合。
8.カンボジア国内でビールまたはノンアルコール飲料を製造する企業に対する計測器設置義務(2021年1月12日 経済財務省令 010号)
本省令は、ビール及びノンアルコール飲料の徴税強化のため、カンボジア国内でビールまたはノンアルコール飲料を製造する企業に対して計測器(容量計測器、液体分析器、データ分析機)の設置・使用を義務付けるものです。適用対象は大規模納税者である工場とされています。飲料水、牛乳、果実飲料などは除外されています。本省令に違反した場合は租税法128条の罰則対象となります。本省令は2021年4月1日から適用されます。
9.車両の騒音規制(2021年1月15日 内務省指導 001号)
本指導は、道路交通法及び2000年7月10日付大気汚染と騒音の管理に関する政令42号に基づき車両の騒音を規制するものです。例えば125CC未満のバイクは85デシベル以下、125CC以上のバイクは90デシベル以下、3.5トン以下の自動車は103デシベル以下、等と区分され定められています。
10.非銀行金融機関規制当局の設置・構成・機能に関する法律(2021年1月16日 法律 003号)
本法律は、銀行以外の金融サービスを規制する非銀行金融機関規制当局を設置し、その構成及び機能を定めるものです。この規制当局は、保険業、証券業、社会福祉業、信託業、会計監査業、不動産業、質業、譲渡担保業などの銀行以外の金融サービスを管理・監査するとされています。
11.フリンジベネフィット課税の基準となる2020年市場借入金利の発表(2021年1月19日 租税総局通知 1005号)
本通知は、大手商業銀行8社の平均値から算出した2020年の市場借入金利を下記のとおり発表するものです。
- リエル:年8,92%
- 米ドル:年8,48%
この金利は、企業が労働者に低利で貸し付けるスタッフローンに対するフリンジベネフィット課税を算定するために使用するものです。関連当事者間(Related party)のローン取引については2018年8月21日付関連当事者間の利息に関する指導11946号が適用されます。なお、関連当事者間以外のローン取引に対しては2014年1月22日付企業の支払利息の確定に関する指導151号の第1号3段落は適用されず、現実の契約利率を用います。
12中小企業促進政策委員会の第2回会議の結果(2021年1月21日 政府通知 36号)
本通知は、中小企業促進政策委員会の第2回会議の結果を公表するものです。
中小企業(SME)の定義
SMEの定義は、企業のスタッフ数、及び年間売上または事業財産によって定める。
事業 |
スタッフの人数 |
及び |
年間売上(米ドル) |
又は |
事業資産(米ドル) |
|||
小 |
中 |
小 |
中 |
小 |
中 |
|||
農業 |
5-49 |
50-199 |
62,250- 250,000 |
250,001- 1,000,000 |
50,000- 250,000 |
250,001- 500,000 |
||
産業 |
5-49 |
50-199 |
62,500- 400,000 |
400,001- 2,000,000 |
50,000- 500,000 |
500,001- 1,000,000 |
||
サービス業及び商業 |
5-49 |
50-99 |
62,500- 250,000 |
250,001- 1,500,000 |
50,000- 250,00 |
250,001- 500,00 |
||
年間売上又は事業資産のいずれか高い方で特定する。 |
省庁と各機関で重複するライセンス、事業許可書、品質証明書等の整理:
- 観光産業
- 観光客輸送ライセンスの発行管轄を観光省から公共事業運輸省に移転する (共同省令で整備する)。公共事業運輸省が発行する貨物・旅客輸送ライセンスを保持していれば、観光省に対してライセンス申請をする必要はないこととする。
- 観光省と保健省は、レストラン業ライセンス、レストラン・食堂の衛生状態証明書の申請を、オンラインシステムCamDXに移行する。
- 観光省は、単独の申立人が同じ場所から複数の種類の観光ライセンスを申請することができるようCamDXを調整する。
- 加工食品
- 保健省は、これまで行っていた食品流通証明書・食品衛生証明書の発行を停止し、今後は医薬品・健康食費・化粧品についてのみ流通証明書・衛生証明書を発行する。食品に関する衛生証明書の発行権限は、産業科学技術革新省に移転する。国内で製造販売される食品及び輸出される食品については、衛生証明書の申請は任意とする。輸入食品の衛生証明書は、危険性が高い輸入食品については義務とする。
- 産業科学技術革新省はSMEに対する食品登録証の発行を加速する。
- 産業科学技術革新省は、手工業企業の設立、及び工場手工業の事業許可を迅速に行うため、これらの申請手続をCamDXに組み込む。
13.製造業の工場・企業に対する年功補償過去分及び2020年・2021年の年功補償現在分の支払(2020年1月21日 労働職業訓練省通知 003号)
2020年6月、COVID-19の経済への影響を考慮して全ての企業に対して2020年に支払うべき年功補償の支払(2018年までの過去分と2020年の現在分)を2021年まで延期する旨の通知が出されました。本通知は、この延期された年功補償につき、全ての製造業の企業・工場に対して下記のとおり支払うよう通知するものです。
なお、この通知は2020年末から2021年1月にかけて、延期された年功補償の早期支払を求めるストライキが続いていたことに対応するために急遽出されたものであるため、とりあえず製造業を対象とする内容になっています。他の業種の年功補償の支払については別途通知が出されるものと予想されます。
1.2019年よりも前の過去分の支払
- 2020年に支払うはずであった過去分は2021年の第1四半期と第3四半期に支払う
- 2021年に支払うべき過去分は2021年の第2四半期と第4四半期に支払う
2.2020年と2021年の現在分の支払
- 2020年分の年功補償は2021年の第1四半期と第3四半期に支払う
- 2021年分の年功補償は2021年の第2四半期と第4四半期に支払う
実際の支払時期及び支払方法の詳細については、使用者と労働者が協議して各企業の実情に合った時期・方法で行うこと。
14.結婚式及び宗教行事におけるCOVID-19感染拡大防止措置の強化(2021年1月26日 保健省レター 014号)
本レターは、保健省から各市・州の知事及び現地当局に対して、結婚式、宗教行事などを行う者に許可を与える前に下記のCOVID-19感染拡大防止措置を採るよう指導するよう通知するものです。
- 全ての入口に自動温度測定システムまたは手動体温計、及び手洗い用アルコールまたはジェルを設置するとともに、事業所にもアルコールまたはジェルを設置し、頻繁に手洗いをすること
- 1.5メートルのソーシャルディスタンスを確保し、10人用の食事テーブルに座る人数は5人以下とすること
- 握手はせず、お辞儀で代替すること
- 入口の見え易いところにマスク着用・手洗い・咳くしゃみ時の措置等の注意マークを設置すること
- 各々の管轄区域で行われる結婚式・宗教行事などへの参加者に対して保健省の保健措置を実施するよう指導すること