発行番号:09
文 責:嶋貫賢男
*下記はTSURUGI SOLUTIONが独自に作成した抄訳・要約・解説です、正確な全文は原典をご参照下さい。原典は各リンクからダウンロードできます。
2. 空港から入国する際の条件(2020年6月9日 民間航空局通知 318号)
本通知は、これまでに政府から出されたCOVID-19対策措置に基づき、国際線を運航する全ての航空会社がカンボジア入国者に対して採らなければならない措置をリマインドするものです。
- COVID-19非感染証明書の保有は、カンボジアパスポートを保持するカンボジア人に対しては免除する。
- 2020年3月14日・15日の保健省告知によるイラン・イタリア・ドイツ・スペイン・フランス・アメリカ合衆国から来る外国人の一時入国禁止措置は、撤廃する。
- カンボジアへ入国する外国人は、72時間以内に居住国の適格医療機関が発行したCOVID-19非感染を証明する健康証明書(Health Certificate)を保持しなければならない。また、外国人はカンボジア滞在中をカバーする5万米ドル以上の健康保険証書を提示しなければならず、カンボジア政府所定の各種措置を遵守しなければならない。上記の健康証明書と健康保険証書の要件は、外交ビザ(Aビザ)または公用ビザ(Bビザ)を有する公務員及び国際機関職員には適用されない。
- 各種機関が発行する健康証明書及び保険証書は信頼でき、かつ連絡が取れるものでなければならない。
- カンボジア到着時は、外国人であろうとカンボジア人であろうと所定のCOVID-19センターへ検査のために連行され、カンボジア入国を許可される前に24時間を上限として収容され検査結果を待たなければならない。乗客の中に一人でも陽性者がいた場合は、同じ航空機の乗客全員が所定の施設で14日間の隔離に服しなければならない。全ての乗客が陰性であった場合は、乗客全員が各地方当局及び医療職員の監視下で14日間の自主隔離をするものとし、13日目にKhmer-Soviet Friendship Hospital又は各州の認定医療機関でCOVID-19テストを受けなければならない。
- ビザ免除入国、及び観光ビザ・eビザ・アライバルビザ発行の停止措置は今後も継続する。よって、ビザは外国のカンボジア大使館/領事館で取得することになる。
- 航空会社は、COVID-19陽性が確認された旅客をカンボジア入国便に搭乗させてはならない。このような事態が生じた場合は、その航空会社が全責任をもってその旅客を送還すること。
- 全ての航空会社は、上記の3号及び4号の書面を提示しない旅客をカンボジア便に搭乗させてはならない。
- 全ての航空会社は下記の措置を実施すること。
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- 当局の調査に応えるため、外国人旅客の健康証明書及び保険証書のコピーを20日間保管すること。
- フライト前日の午前10時までに、乗客の予約総数と予約リストをSSCAに提出すること。
- カンボジア便の離陸前に最終的な乗客数と出発地をSSCAに提出すること。
- なお、旅行制限はカンボジアに入国する航空会社の乗務員には適用されない。
3.オンラインでの企業登録(2020年6月10日 政令 84号)
本政令は、カンボジアにおける企業登録(会社設立など)をオンラインで実施すること可能とするものです。企業登録時に必要となる商業省の商業登記・租税総局の税務登録・労働職業訓練省の企業開設通知を一括して行うことができ、さらにカンボジア開発評議会(CDC)における適格投資登録も行うことができます。省庁へ出向かずとも会社設立ができることになり、大幅な労力節減につながることが期待されます。詳細は経済財務省発行のガイドブックで確認できます。
- 商業省のウェブサイトhttps://www.registrationservices.gov.kh/から申請書の記入と必要書類のアップロードを行う。委任状があれば代理人によって実施することもできる。
- 申請書及び添付資料に不備がなければ、商業省は申請から3営業日以内に電子データで商業登記証明書を発行する。
- 商業省における商業登記が完了してから4営業日以内に、租税総局はパテント証明書・税務登録証(VAT登録証)などを電子データで発行する。なお税務登録促進のため新規登録時のパテント税は50%減額する。
- 申請者は、税務登録完了から15営業日以内に銀行口座情報をアップロードしなければならず、これを怠ると税務登録は自動的に撤回される。
- 商業登記及び税務登録の完了後、1営業日以内に労働省は企業開設通知にオンライン上で受付番号を付して受理する。
- カンボジア開発評議会(CDC)は、投資計画がネガティブリストに掲載されておらず申請・添付資料が十分かつ適切である場合、投資計画申請の受理から20営業日以内に電子データで計画登録証明書を発行する。
本指導は、国内道路運輸旅客業者の一部が2017年7月17日付省令343号及び344号に基づく免許登録・免許更新をしていないことに鑑み、免許申請・免許更新の適切な実施を促すものです。未登録・未更新の業者に対しては2020年7月1日から罰金が適用される旨も記載されています。
5.E-Fillingシステムによる税務申告期限の延長(2020年6月16日 租税総局通知 14812号)
租税総局は、2020年6月からオンラインでの月次税務申告(E-Filling)を開始しましたが、まだ新システムに移行する準備ができていない企業があることに鑑み、E-Filingへの移行時期を2020年9月まで延長しました。また、納税者がE-Filingを行う際は、下記の3つの方法から選択することとされています。
- 2020年2月27日付経済財務省指導003号所定の手続に従う方法。
- APIシステムを利用してE-Fillingを行うことを希望する銀行、マイクロファイナンス、プノンペン市水道局(PPWSA)、カンボジア電力公社(EDC)、その他一部の民間セクターについては、租税総局にシステム接続申請をする方法。
- 租税総局のウェブサイトからアプリをダウンロードして行う方法。ただし年間100ドルのサービスフィー(Subscription for license fee)を支払う必要がある。
この間は、暫定的に従来通りの税務申告を行うことができる。また、既にE-Filingを開始した納税者はそのままE-Filingを利用し続けることができる。
6.COVID-19期間中にカンボジアに入国する外国パスポートを保持するカンボジア人に対する措置及びAビザ・Bビザを保持する外交官・国際機関職員に対する隔離措置の改正(2020年6月17日 保健省告知 122号)
本告知は、外国ビザを保持するカンボジア人旅客、及び外交官・国際機関職員に対するCOVID-19の拡散制御・防止措置を改正するものです。
- 外国パスポートを保持するカンボジア人が特別ビザ(Kビザ)で入国する場合、健康保険(Health Insurance)及びCOVID-19検査・隔離・治療のための3,000米ドルのデポジットは免除する。ただし自国政府の認定医療機関が発行したCOVID-19非感染証明書(Health Certificate for Covid-19 Free)(有効期間72時間)を保持しなければならない。
- カンボジアに入国する外交官及び国際機関職員が所属するプノンペンの外国ミッション機関・国際機関は、その外交官・職員のCOVID-19非感染及び14日間の自主隔離実施を保証しなければならない。
- 2020年5月20日付保健省告知101号「旅行者がカンボジア人に入国するための要件について」所定の措置は今後も適用される。
7.銀行・マイクロファイナンスの借入利息に対する源泉徴収税の減税(2020年6月19日 経済財務省令 525号)
本省令は、COVID-19の影響を考慮して、カンボジアの銀行・マイクロファイナンスが国内または国外から借り入れた借入の利息に対して課税される源泉徴収税を減額するものです。租税法によれば、国内からの借入の利息に対しては15%、国外からの借入の利息に対しては14%の源泉徴収税が課税されますが、この税率が下記の通り一時的に引き下げられました。
- 新規借入から発生する利息
2020年4月から12月までは5%、2021年は10%、そして2022年からは通常利率に戻す。
- 既存借入から発生する利息
2020年4月から12月までは10%、2021年からは通常利率に戻す。
なお、この減税を受けるためには借入契約書の両当事者の署名に弁護士認証を受ける必要があるとされています。
8.Aビザ/Bビザ保持者がカンボジアに入国する際の措置(2020年6月19日 外務国際協力省告知 1170号)
本告知は、カンボジアに入国する外交官・国際機関職員に関するCOVID-19対策として、Aビザ/Bビザ保持者がカンボジアに入国する際は外務国際協力省に対して外交レターを発行するよう、カンボジア国内の外交・領事公館及び国連チームに対して指導するものです。同レターには入国予定のAビザ/Bビザ保持者の詳細(及びパスポートコピーの添付)、フライトスケジュールの詳細、出発前のCOVID-19非感染の確認(可能であればテスト結果の添付)、当該公館の監視下で14日間の隔離措置を実施する旨の確約等を記載することとされています。また、非感染の確認ができない場合はカンボジア保健省の検査を申請することとされています。
9.長期事業資産売却時のVAT課税(2020年6月22日 租税総局指導 15301号)
租税総局は2020年5月5日付指導11581号「事業用資産の処分にかかるVAT課税の適用」において事業資産処分時のVAT課税につき見解を示しましたが、本指導はこれを明確化するものです。
- 長期事業資産を売却・贈与・廉価提供・他企業へ拠出等する際(事業譲渡の場合を除く)は、市場価格の10%のVATが課税される。
- 租税法65条に基づきTax Creditを獲得した長期事業資産を使用停止した際は、その資産は売却されたものとみなし、使用停止時に市場価格に基づきVATが課税される。他方、獲得時にInput Tax Creditを獲得しなかった長期事業資産については、使用停止時に売却されたものとはみなさず10%のVATは課税しないが、これを売却する際は10%のVATが課税される。「使用停止された長期事業資産」とは、企業が保管しているが生産に使用していない資産のことである。
- なお、租税法57条に基づきVAT非課税でサービス提供をしている企業(公営郵便・医療機関・公営交通機関・保険サービス・一部の主要金融サービス・一部の非営利公共活動など)であっても、租税法65条に基づくInput Tax Creditを獲得せずに購入した長期資産を売却する際は10%のVATが課税される。
10.縫製業・観光業への政府支援金支給(5回目、6回目、7回目、8回目)(2020年6月16日、23日、25日 労働職業訓練省通知 番号なし)
労働省は2020年4月17日付指導045号により雇用契約停止となった労働者に対する政府支援金の支給を決定し、2020年5月26日付通知でその支給手続を規定しました。その後、労働省は対象事業所ごとに支給実施の通知を出しており、6月25日の通知で8回目の通知となります。対象となる事業所は各通知にリストアップされています。内容はこれまでの通知と同様で以下の通りです。
2020年4月17日付の労働省指導045号に基づき雇用契約停止の許可を受けた縫製業・観光業の工場・企業(添付リストに記載)で勤務する労働者に対して、各工場・企業を通じて労働省に提供された各労働者の電話番号宛に、ウィング特殊銀行が政府支援金支給に関する通知を送信する。支援金はリエル通貨で支給する。
雇用契約停止の予定期間前に勤務再開となった場合に支援金を政府に返還する手間を省くため、21日から1か月の雇用停止となる者に対しては2回に分けて支給することとし、2ヶ月間の雇用停止となる者に対しては4回に分けて支給する。
ウィング特殊銀行から携帯電話への通知を受信してから10日以内に手当を受領しなかった場合、ウィング特殊銀行は支援金を政府に返金する。支援金を受け取るためにはカンボジアIDとウィングからの通知を受信した携帯電話をもって最寄りのウィング代理店へ行くこと。なお、この支援金を受け取るためにウィング代理店に対してサービス費用を支払う必要はない。
ウィング特殊銀行から携帯電話への通知を受信していない労働者は、各工場・企業の事務担当へ連絡して詳細を確認すること。