発行番号:08
文 責:嶋貫賢男
*下記はTSURUGI SOLUTIONが独自に作成した抄訳・要約・解説です、正確な全文は原典をご参照下さい。原典は各リンクからダウンロードできます。
3.会計及び監査に関する法律違反に対する罰則(2020年6月1日カンボジア政府 政令 79号)
本政令は、会計及び監査に関する法律に違反した場合の罰則を定める政令です。例えば、許可を受けずに法定の会計期間(1月から12月)と異なる会計期間を使用した場合;会計帳簿・財務報告書にクメール語を使用しない場合;許可を受けずにカンボジアリエル以外の通貨を会計帳簿・財務報告書に使用した場合等の場合、大規模納税者は2百万リエル(約500米ドル)・中規模納税者は1.5百万リエル(約375米ドル)の罰金対象となる等が規定されています。また、カンボジア公認会計士・監査人協会(KICPAA)に登録された会計士・監査人に対する罰則も規定されています。
本省令は、動物飼料・その原材料及び添加物の輸出入・生産・梱包・保存・供給・売却等をするためのライセンス発行やこれらを保管するための倉庫の登録の手続を定めた省令で、申請書式が別紙として添付されています。有効期限については、輸出入ライセンスは1年間、生産・混合・梱包ライセンスは5年間、国内供給・販売ライセンスは1年間、これらの業者が確保しなければならない倉庫の登録は5年間とされています。
5.IFRS16レポートの改正(2020年6月2日 経済財務省通知 005号)
2020年5月28日、International Accounting Standard Board (IASB) はリースに関する国際会計基準 (IFRS 16) を改正し、COVID-19の影響によるリース料減免が多発している状況に鑑み、COVID-19の影響によるリース料減免についてはリース条件変更の会計処理をする必要がない旨を発表しました。本通知はこれをカンボジアにも普及するための通知です。この改正は2020年6月1日から適用され、2021年6月30日までに期限が到来するリース料に対して適用されます。
6.COVID-19の拡散制御・防止措置のリマインド(2020年6月2日 労働職業訓練省通知 番号なし)
本通知は、労働職業訓練省から工場・企業の事業主、特に縫製業に対して、保健省から出されているCOVID-19防止措置の実施をリマインドする通知です。
- 工場・企業に入る前に体温を測定して、咳・鼻水・喉の痛み・呼吸困難などの症状がみられる場合や、体温が5度を超える場合は、医者・専門家の受診を認めること。
- ビルの出入り口に手洗い用アルコール、ジェル、または石鹸を設置すること。
- 各労働者が健康状態に応じて着用できるよう十分な量のマスクを準備すること。
- 咳やくしゃみをする際はタオル、クロマー、または肘を使って口と鼻を塞ぎ、使用後は適切に廃棄するとともに石鹸またはアルコールを使用して手を洗うようリマインドすること。
- 労働者の体温が5度を超え、咳、鼻水、のどの痛み、呼吸異常、または呼吸困難の症状がある場合で、症状が出る前14日以内にCOVID-19発症地域へ行きCOVID-19患者または不明な病気で死亡した者に接触した、または病気の動物に接触した場合は、115番または保健省指定の電話番号に電話をすること。
7.2019年より前の年功補償過去分及び2020年の年功補償現在分の支払延期について(2020年6月2日 労働職業訓練省通 018号)
全ての使用者は、毎年6月と12月に無期雇用契約(UDC)の労働者に対して年功補償金を支払う義務があり、2020年6月と12月には、縫製・製靴業は「2019年より前の過去分」と「2020年の現在分」の両方を、その他の業種は「2020年の現在分」を、支払う義務があります。
しかし労働省はCOVID-19の影響を考慮して、2020年に支払うべき縫製・製靴業の「2019年より前の過去分」と全ての業種の「2020年の現在分」の支払を2021年に延期すると通知しました。
ただし、この延期の期間中に「労働者の重大な不正行為に基づく解雇」または「労働者による自主的な退職」以外の理由で無期雇用契約の労働者の雇用を終了させた場合は、法令に従い通常通りの年功補償金の支払が必要です。
8.COVID-19の拡散制御・防止措置(2020年6月3日 観光省レター 260号)
本レターは、政府による閉鎖措置に違反して営業を継続している店舗がある実態に鑑み、措置の軽減・変更の通知が出されるまではKTV、娯楽クラブ(カラオケ、ランクサール、ディスコ)、ビアガーデンの閉鎖措置が継続されることを確認するよう、観光省からプノンペン市・各州に対して通知する内容です。
9.全種類の観光業ライセンスの2021年更新手数料の免除(2020年6月8日 観光省通知266号)
本通知は、観光省が2020年5月26日の政府方針に基づき全種類の観光業につき2021年のライセンス更新料の免除を通知するものです。
- 全種類の観光業ライセンスにつき2021年の更新料の支払いを免除する。ただし手数料免除期間であっても観光業者は観光業ライセンスの更新申請をする義務は負う。
- 2020年中に申請された新規ライセンス申請・2020年中の更新申請・2021年からの新規ライセンス申請については、手数料の支払は必要である。
- 観光サービスランクの評価申請については、手数料の支払は必要である。
- 観光業ライセンスの有効期限が切れている場合、その他2020年2月17日付共同省令160号「観光省による公共サービス提供及び罰金について に違反した場合の罰金の支払は必要であるが、この場合でも2021年の観光業ライセンスの更新料は免除とする。
- 観光業ライセンス更新料免除の適用は、2021年1月1日から2021年12月31日までとする。
詳細は観光省またはプノンペン市・各州の観光局まで連絡するか、092 779 833、089 767 664、011 833 318まで電話をすること。
10.2020年6月のゴミ収集料金の支払(2020年6月8日 プノンペン市役所通知 番号なし
2020年5月25日の通知に基づき、電子的支払制度(携帯電話)又はACLEDA、ABA、WING、AMK、WB Finance、Prince、Sathapana銀行の支店又はeMONEY、Lyhour Weiluy、Pi Pay及びDara Payなどの代理店により多くの市民・民間業者がごみ収集サービス料金を支払いましたが、まだ支払っていない市民・民間事業者もいるため、プノンペン市は改めて支払を促すとともに不払の者に対して下記の措置を採ることを再度通知しました。
- ソーシャルメディアまたはその他の情報発信方法により不払者の名前を記載したリストを公開する。
- 債務として記録し、事業の一時閉鎖措置を採る。
- 必要に応じてその他の諸措置を採る。
11.縫製業・観光業への政府支援金支給(4回目)(2020年6月9日 労働職業訓練省通知 番号なし)
労働省は2020年4月17日付指導045号により雇用契約停止となった労働者に対する政府支援金の支給を決定し、2020年5月26日付通知でその支給手続を規定しました。その後、労働省は対象事業所ごとに支給実施の通知を出しており、本通知で4回目の通知となります。対象となる事業所は各通知にリストアップされています。内容はこれまでの通知と同様で以下の通りです。
2020年4月17日付の労働省指導045号に基づき雇用契約停止の許可を受けた縫製業・観光業の工場・企業(添付リストに記載)で勤務する労働者に対して、各工場・企業を通じて労働省に提供された各労働者の電話番号宛に、ウィング特殊銀行が政府支援金支給に関する通知を送信する。手当はリエル通貨で支給する。
雇用契約停止の予定期間前に勤務再開となった場合に支援金を政府に返還する手間を省くため、21日から1か月の雇用停止となる者に対しては2回に分けて支給することとし、2ヶ月間の雇用停止となる者に対しては4回に分けて支給する(1回につき82,000リエル=20米ドル)。
ウィング特殊銀行から携帯電話への通知を受信してから10日以内に支援金を受領しなかった場合、ウィング特殊銀行は支援金を政府に返金する。支援金を受け取るためにはカンボジアIDとウィングからの通知を受信した携帯電話をもって最寄りのウィング代理店へ行くこと。なお、この支援金を受け取るためにウィング代理店に対してサービス費用を支払う必要はない。
ウィング特殊銀行から携帯電話への通知を受信していない労働者は、各工場・企業の事務担当へ連絡して詳細を確認すること。
12.ペットボトル水事業に対する措置(2020年6月10日 産業科学技術革新省レター 1123号)
本レターは、ボトル飲料水の品質・衛生・安全性を維持するため、プノンペン市・各州の産業科学技術革新局に対して下記のとおり指導するものです。
- 各局は全てのボトル飲料水製造事業主を呼び出して関連規制を普及すること。
- 事業・製品の登録をしていない業者に対して事業の一時停止措置を採ること。
- 規制当局(各地のCAMCONTROL)と協力して市場流通している正体不明の製品を阻止すること。
- 各局からの指導に従わなかった業者は罰則の対象となる。
13.最低労働賃金協議の予定(2010年6月10日 労働職業訓練省通知 019号)
毎年カンボジアでは使用者側・労働者側・政府側の三当事者が協議をして縫製・製靴業の最低賃金を決めていますが、2021年の最低賃金を協議するスケジュールが発表されました。なお、従来カンボジアでは縫製・製靴業についてのみ最低賃金が設定されてきましたが、2018年に最低賃金法が施行されたことに伴い今後は縫製・製靴業以外の業種の最低賃金も設定されるようになっていくと考えられます。ただし今回発表されたスケジュールは従来どおり縫製・製靴業の最低賃金についてです。
- 2020年7月:各当事者がそれぞれ内部で協議を開始する。
- 2020年8月:二当事者・三当事者での協議を開始する。
- 2020年9月:国家最低賃金評議会を開催して2021年の縫製・製靴業の最低賃金を決定する。
- 2021年1月1日:最低賃金の適用開始。
14.COVID-19検査・隔離・療養費用の金額(2020年6月11日 保健省通知 564号)
保健省は、外国人がカンボジアに入国する際のCOVID-19検査・隔離・療養にかかる費用をその外国人から徴収することとし、その金額を下記の通りと発表しました。
- 検査結果が出るまでの費用
- 空港から検査場までの移動費 5米ドル/1人/1回
- 検体提出から検査結果取得まで 100米ドル/1回/1人
- 指定ホテル・隔離センターの宿泊費 30米ドル/1日/1人
- 3回の食事 30米ドル/1日/1人
- 感染者と同じ乗物で入国した非感染者のホテル・隔離センターでの14日間の滞在費
- 移動費 5米ドル/1人/1回
- 指定ホテル・隔離センターの宿泊費 30米ドル/1日/1人
- 検体提出から検査結果取得まで 100米ドル/1回/1人
- 3回の食事 30米ドル/1日/1人
- 洗濯清掃費 15米ドル/1日/1人
- 看護費(看護者3名) 6米ドル/1日/1人
- 警備費(2名) 3米ドル/1日/1人
- 感染者の国立病院での診療・治療費
- 移動費 5米ドル/1人/1回
- 検査費(最低4回) 100米ドル/1人/1回
- 病院の宿泊費 30米ドル/1日/1人
- 医療費・薬代 上限150米ドル/1日/1人
- 3回の食事 30米ドル/1日/1人
- 洗濯 15米ドル/1日/1人
- 緊急治療 病院所定の金額
- その他の既往症の検査・治療 病院所定の金額
- 死亡した場合の火葬 1500米ドル/1人
- COVID-19関連の健康証明書(Health certificate)の費用
- 検査費 100米ドル/1人/1回
- 健康証明書の発行 30米ドル/1人/1回
全ての外国人はカンボジアに到着した際、5万米ドル以上の保険証券を提示するとともに、3000米ドルを指定銀行に預託すること。上記費用はこの預託金から控除される。