発行番号:07
文 責:嶋貫賢男
*下記はTSURUGI SOLUTIONが独自に作成した抄訳・要約・解説です、正確な全文は原典をご参照下さい。原典は各リンクからダウンロードできます。
2. 食品パッケージ・ラベルのクメール語翻訳(2020年5月22日 保健省通知 2722号)
2017年8月4日付保健省令649号により食品を製造または輸入してカンボジア国内で販売するためにはFree Sales Certificate / Health Certificateを取得しなければならないとされていますが、本通知は、この省令の適用を強化するためFree Sales Certificate / Health Certificateを申請する際にパッケージ・ラベルをクメール語に翻訳することを要求するものです。
3.2020年の車両税徴収(2020年5月25日 租税総局通知 12843号)
車両の所有者は毎年車両税を支払う義務があり、本通知は2020年の車両税を2020年6月1日から2020年11月30日までの間に支払わなければならない旨を通知するものです。支払は州・区(Khan)の税務支局、カナディア銀行、ACLEDA銀行、VATTANAC銀行、カンボジアパブリック銀行、または経済財務省とMOUを締結した銀行にて行うこととされています。
また、本通知には2021年1月1日から税務当局が権限官署と協力して税金支払をチェックし、前年までの車両税を支払っていない車両所有者に対して税法に基づき罰金を科す旨も記載されています。
本通知は、プノンペン市によるCOVID-19対策継続のリマインド及び強化の通知をするものであり、概要は以下の通りです。
カンボジア国内のCOVID-19はある程度収束し、感染者のうち122名は治癒し現在2名が治療中である。しかし世界では約500万人が感染し、30万人以上が死亡している。カンボジア市民の健康を守るため、プノンペン市は各区(Khan)・局・機関に対して、下記のとおり通知する。
- プノンペン市内に居住・滞在している市民、特に工場労働に従事する市民に対して、頻繁な手洗い、マスク着用またはクロマーの使用、咳やくしゃみをする際に口をふさぐこと、ソーシャルディスタンス及び対人距離を適切に保つこと等のCOVID-19防止措置を実行し、日々の生活スタイルを改善するよう引き続き教育・指導すること。
- 宴会や宗教等の会合・集会の禁止は2020年9月まで継続すること。
- レストラン・食堂・各種販売店をチェック・追跡し、手洗い用ジェルまたはアルコールを入り口前に設置する、スタッフによる全顧客に対する入店前の体温測定を実施する等のCOVID-19防止措置を全ての事業主に対して徹底させること。事業主がこれを実施しない場合、プノンペン市は暫定的に事業を閉鎖させる。
- スポーツジム、KTV、娯楽クラブ(ランクサール、カラオケ、ディスコ、ビアガーデン)、マッサージ店、スパなどの一時閉鎖措置が実施されていることをチェックし追跡すること。
- 外国から入国した者は必ず14日間の隔離措置に服して健康状態を追跡し、発熱・咳・喉の痛み・呼吸困難などの健康不調またはその疑義がある場合はすぐに近くの健康センターまたは病院へ行くか、または115番まで電話をすること。
- 健康センターまたは病院から帰宅した者が自宅隔離を実施している自宅場所のチェック及びプノンペン市が準備した隔離センターで自主隔離している者の状態のチェックを行い、健康調査の結果に応じて職場復帰の準備をすること。
- 現在適用されている保健省及び各機関によるCOVID-19防止措置を厳格に実施すること。
5.ゴミ収集料金の支払促進(2020年5月25日 プノンペン市役所通知 番号なし)
本通知は、電子的支払制度が適用されてからプノンペン市内のごみ収集サービス料金を支払っていない市民・民間事業者に対して支払を促すとともに、不払者に対して下記の措置を採る旨を通知するものです。
- ソーシャルメディアまたはその他の情報発信方法により不払者の名前を記載したリストを公開する。
- 債務として記録し、事業の一時閉鎖措置を採る。
- 必要に応じてその他の諸措置を採る。
6.COVID-19の影響を受けた民間セクター及び労働者の支援措置(第4回)(2020年5月26日 カンボジア政府プレスリリース 番号なし)
カンボジア政府はCOVID-19により影響を受けた経済を支援するための措置を発表しました。概要は下記のとおりです。
カンボジアはCOVID-19を上手く抑え込み、地域・世界でも状況は改善しているように見えるが、経済・社会への影響はまだ拡大している。会社・工場・企業の事業がCOVID-19を乗り越えられるよう、カンボジア政府は第4回の措置を発することを決定した。この措置は、(1)既存措置の継続と、(2)新規追加措置の実施の両方を含む。この第4回措置は貧困層への生活支援(Social Assistance)の意味合いも含む。さらに、この第4回措置はCOVID-19後の経済復興・経済成長にも着目するものである。
1.事業者・労働者に対する救済措置
1.1.観光業の支援を継続する
- 租税総局に登録され、かつプノンペン市・シェムリアップ州・シアヌークビル州・ケップ州・カンポット州・バベット市・ポイペト市で事業を行っているホテル・ゲストハウス・レストラン・旅行代理店に対して実施されている全種類の月次申告税免除措置は、さらに2か月間延長し、2020年6月及び7月も継続する。
- 事業停止中は、国家社会保障基金(NSSF)の保険料の支払免除を継続する。
- 2021年の観光業ライセンスの更新費用は免除する。
1.2.航空業界への支援
- カンボジアで登記されている航空会社に対して現在実施されているミニマム税の免除措置はさらに2か月間延長し、2020年6月及び7月も継続する。
2.事業者に対する金融支援措置
2.1.Agriculture and Rural Development Bank (ARDB)による5000万米ドルの特別融資プログラムを改正し、下記のとおり適用範囲を拡大して融資条件を変更する。
- 運転資金の金利を6%から5%に下げ、投資資金の金利を5%から5.5%に下げる、手数料の支払は不要。
- 投資資金の融資期間を5年から7年に変更する、運転資金の融資期間は2年に据え置く。
- 本プログラムの融資金をリファイナンスに使用することは引き続き禁止する。
- 登記要件を緩和し、まだ正式に登記していない中小企業であっても融資後1か月以内に登記することを条件に融資申込を認める。
- 「5名以上を雇用する中小企業」となっていた要件を改正し、「本プログラムの融資を受けた中小企業は新規雇用を創出するよう努力すること」と変更する。
- 本プログラムの適用範囲を中小企業群(SME Cluster)に拡大し、中小企業がスムーズに融資を受けられるようKhmer Enterprise (សហគ្រិនខ្មែរ)のサービス利用を奨励する。
2.2.金融機関から中小企業に対する1億米ドルの特別融資プログラムの改正
- 既存ローンの条件変更を認める(Loan Restructuring)。
- 本プログラムの融資金をリファイナンスに使用することは引き続き禁止する。
- 元本・利息の返済を緩和し、毎月返済であったものを3か月または6か月または12カ月ごととする。
- 返済期間を改正して4年から7年とし、金融機関(PFIs)が自ら期間を決めることを認める。
- 適用範囲を拡大し、2018年10月2日付政令124号に規定されている業種に加え、医療器具製造・製薬にも適用する。
- 「5名以上を雇用する中小企業」となっていた要件を改正し、「本プログラムの融資を受けた中小企業は新規雇用を創出するよう努力すること」と変更する。
3.COVID-19後の経済振興
3.1.通貨流通の促進
- 経済財務省とカンボジア国立銀行は協力して銀行間の通貨量を増加させるかどうか注視する。
3.2.利息に対する源泉徴収税の減税
新規融資の場合
- 金融機関の国内・国外ローン金利に対する源泉徴収税を、2020年は5%とする。
- 同様に、2021年は10%とする。
- 2022年からは通常に戻す。
既存融資の場合
- 金融機関の国内・国外ローン金利に対する源泉徴収税を、2020年は10%とする。
- 2021年からは通常に戻す。
3.3.運転資金の供給
- 経済財務省は2億米ドルで「信用保証基金(Credit Guarantee Fund)」を設立する。この基金が銀行・マイクロファイナンスを通じて信用保証を提供することにより、20億ドル以上の運転資金供給を目指す。
3.4.追加融資制度の創設
- 経済財務省は重要セクターを支援するため追加融資制度に30億ドルの予算を設ける。
4.社会支援措置
- 失業者を支援するため2020年の「労働支援金プログラム(Cash for Work)」の予算を1億米ドルに引き上げる。
- 2020年6月、政府はCOVID-19による困難な日々の生活を支援するため、エクイティカードを有する弱者・貧困家庭、とりわけ5歳未満の子供、障がい者、60歳以上の高齢者、HIV患者を対象とする支援措置を実行する。
5.電子的方法による会社登記システムの運用開始
- 2020年6月から電子的方法による会社登記システム (Business Registration Platform)の運用第一弾を開始し、政府の特別融資制度を利用するために会社登記する者を支援する。
7.エスクローアカウントの登録手続(2020年5月26日 経済財務省通知 011号)
カンボジア国内でエスクローサービスを提供するためには信託法に基づき経済財務省に登録しなければなりません。本通知はエスクローサービスを提供する事業者に対して登録義務をリマインドするもので、申請書やエスクロー契約のコピー等、登録に必要な書類がリストアップされています。
8.ナショナルスポーツ協会のトレーニング・リーグ戦の再開許可(2020年5月26日 教育省レター 2345号)
教育省はナショナルスポーツ協会に対して、トレーニングと競技会を段階的に許可する旨を通知しました。ただし明確な実施計画の策定と下記の安全措置の実施が条件とされています。
- トレーニング・競技会においては安全確保のため技術指針を遵守すること。
- 場所および器具は毎回殺菌し清潔にすること。
- 選手、指導者、技官は健康状態を適切に検査・管理し、指針を遵守して保健省に協力すること。
- クラブに対して、練習・競技を開始する前にCOVID-19防止策の要件を満たし適切かつ厳格に実行するよう指導すること。
- 競技会は扉を閉め無観客で実施すること。
- 競技会では選手及び技官の数が合計100名を超えないこと。
- ソーシャルディスタンス及び対人距離を保つこと(試合開始時の握手・ハグはしない)。
- トレーニング場所及び競技会場がCOVID-19第二波の場所とならぬよう万全を期すこと。
- 競技会が保健省の措置及び技術指導に適切に従っていない場合、協会は法律に基づき責任を負う。
9.縫製業・観光業への政府手当支給(2020年5月26日 労働職業訓練省通知 番号なし)
労働省は2020年4月17日付指導045号により雇用契約停止となった労働者に対する政府支援金の支給を決定しましたが、本省令はその支給手続を規定したものです。概要は以下の通りです。
2020年4月17日付の労働省指導045号に基づき雇用契約停止の許可を受けた縫製業・観光業の111の工場・企業(添付リストに記載)で勤務する3万3231名の労働者に対して、各工場・企業を通じて労働省に提供された各労働者の電話番号宛に、ウィング特殊銀行が政府支援金支給に関する通知を送信する。支援金の金額は下記のとおりとし、リエル通貨で支給する。
- 雇用契約停止期間が7日から10日の場合:60,750リエル(15米ドル)
- 雇用契約停止期間が11日から20日の場合:121,500リエル(30米ドル)
- 雇用契約停止期間が21日から1か月の場合:162,000リエル(40米ドル)
雇用契約停止の予定期間前に勤務再開となった場合に支援金を政府に返還する手間を省くため、21日から1か月の雇用停止となる者に対しては2回に分けて支給することとし、2ヶ月間の雇用停止となる者に対しては4回に分けて支給する(1回につき81,000リエル=20米ドル)。
ウィング特殊銀行から携帯電話への通知を受信してから10日以内に支援金を受領しなかった場合、ウィング特殊銀行は支援金を政府に返金する。支援金を受け取るためにはカンボジアIDとウィングからの通知を受信した携帯電話をもって最寄りのウィング代理店へ行くこと。なお、この支援金を受け取るためにウィング代理店に対してサービス費用を支払う必要はない。
ウィング特殊銀行から携帯電話への通知を受信していない労働者は、各工場・企業の事務担当へ連絡して詳細を確認すること。
10.カンボジア人に対する健康証明書の免除(2020年5月27日 外務国際協力省レター 3778号)
2020年5月20日付保健省令101号により外国人・カンボジア人を問わずカンボジアに入国する者は72時間以内に発行されたCOVID-19非感染証明書(Health Certificate)を持参することとされましたが、本レターにより、この要件はカンボジア王国のパスポートを有するカンボジア人には免除するとされました。外国人に対しては引き続き適用されます。
11.2020年の遊休地税/不動産税の申告に関するリマインド(2020年5月28日 租税総局通知 13021号)
全ての土地所有者は土地に対して毎年課税される遊休地税/固定資産税を支払う義務を負いますが、本通知は2020年分の支払期限が2020年9月30日であることをリマインドするものです。
12.1米ドル、2米ドル、5米ドル紙幣の流通問題に関する会議(2020年5月28日 国立銀行プレスリリース 004号)
従来よりカンボジア国立銀行(NBC)はリエル通貨の普及を推進していますが、少額米ドル紙幣の管理コストがかさむこと等を理由に1ドル・2ドル・5ドルの米ドル紙幣をリエル紙幣に置き換える方針が決定されました。本プレスリリースにより金融機関が手元にある1ドル・2ドル・5ドル紙幣をNBCに提出することとされたため、1ドル・2ドル・5ドル紙幣の流通量が減少し、リエル紙幣の流通量が増加することになります。ただしマーケットに流通している1ドル・2ドル・5ドル紙幣は今後も流通が継続します。将来的に金融機関がこれらの小額米ドル紙幣の受け付けを止める可能性も示唆されていますが、その時期については引き続き協議を継続するとされており、今後もこれらの小額米ドル紙幣は従来どおり市場流通することが想定されています。概要は下記のとおり。
2020年5月28日朝、カンボジア国立銀行(NBC)は銀行・金融機関の代表者と1ドル・2ドル・5ドルの米ドル紙幣流通に付随する問題点について意見交換をし、概ね下記の合意に達した。
- 世界的不況が広がる中、通貨独立性を高めるためカンボジアはリエルの使用を推進すべきである。
- ここ6か月間、リエルの価値が米ドルに対して低下しているが、これはリエルの需要が低下しているためである。これはリエルで収入を得ている農民に悪影響を与えるので、リエルの需要を上げるため米ドルの小額紙幣はリエルに置き換えられるべきである。
- NBCは新しい米ドル紙幣をアメリカ中央銀行から入手しているが、破損・老朽化した少額米ドル紙幣を新規米ドル紙幣に交換することは手間と費用がかかるため、NBCが管理することは困難を伴う。リエル紙幣であれば老朽化した紙幣を破棄して新規紙幣を発行することができる。
- 少額米ドル紙幣を受け入れてくれる海外の銀行は減少しており受け入れる銀行も積極的でない。COVID-19による航空便の減少によりさらに困難になる。
よって、下記の措置を実施する。
- 2020年6月1日から2020年8月31日までの3か月間は、NBCは銀行・金融機関から1$ / 2$ / 5$の小額米ドル紙幣を無料で受け取り、外国へ発送する。
- 2020年8月31日を過ぎたら、1$ / 2$ / 5$の米ドル紙幣を外国へ発送する費用は銀行・金融機関の負担とする。なお10$以上の米ドル紙幣については無料とする。
- 銀行・金融機関による小額米ドル紙幣の受付停止については、その適切な時期についてNBCは引き続き銀行・金融機関と協議を継続する。
なお、上記の措置は、少額米ドル紙幣の市場流通を禁止するものではない。
13.1米ドル、2米ドル、5米ドル紙幣の流通(2020年5月29日 カンボジアマイクロファイナンス協会声明 番号なし)
上記国立銀行告知004号を受けて、カンボジアマイクロファイナンス協会(CMA)はマイクロファイナンス機関(MFI)に対して下記のとおり通知を出しました。
1.1ドル・2ドル・5ドルの米ドル紙幣は、今後もその市場価格によって受け入れを継続する。
2.市民に対して国家通貨であるリエル紙幣の使用を奨励する。